Facebookの2018年注力する分野

2018年になってFacebookの新しい動きについて、今後のトレンドの参考にもなりそうだし、1ユーザーとしても影響がありそうなので取り上げたいと思います。


1月4日 恒例の今年の抱負

同社のCEOマーク・ザッカーバーグ氏は毎年、1の目標を公表することで知られています。普段はプライベートな目標が多いのですが、今回はパブリックな内容で、1月4日に、会社としてFacebookが直面している重大な問題にトライするとのことでした。具体的には、アメリカの大統領選において、ロシアなどからFakeニュースに利用されたことなどが話題になりましたね。そういったメディアや政治的な問題も含め、改善していきたいということでしょう。

Facebook CEO Mark Zuckerberg
https://japan.cnet.com/article/35112763/


1月11日発表のミニフィードのアルゴリズム改訂

 その一環としてか、2018年の111日に早速、Facebookは今後同社サービスで表示されるミニフィードに関して、もっとユーザーが友人や家族と親密になれるようものを優先的に上に表示させるアルゴリズムにしていく方針を発表しました。


れまでのミニフィード表示の優先順位は、どれくらい多くの人たちがコメントし、反応し、シェアしていたかによって、高い順位で表示させることにしていましたが、今後さらに、ユーザーが反応したくなるような重要な投稿を予測して、プライオリティをつけるようにするということでした。自分たちがシェアしたい情報と、他人が欲しがっている情報をうまくマッチングさせるようにすることが狙いだそうで、また、公開ニュース等よりも、友達や家族との投稿のほうが優先順位があがるようにも設定すると話しています。

アメリカのメディアにおける、上記責任者Adam Mosseri, Head of News Feedのインタビュー記事がありましたので少しその詳細や彼らの動機について紹介したいと思います。

そもそも、Facebookにおいて、ミニフィードはアプリケーションのポータルであり非常に重要なものです。もし、関係のない広告記事で溢れてしまうようであればたちまちユーザーはうんざりして遠のいてしまうでしょう。そんなミニフィードの開発部隊がどれくらいのチームかというと、プロダクトマネージャー、ソフトウェアエンジニア、デザイン、研究、分析などのチームで合計400名ほどいるそうです。WoW!

また、Facebookの収入源はミニフィードと同時にだされる「広告」ですが、これらのチームは全く別に存在しており、技術的な部分は連携している、というのだから結構な人数を割いています。ただ、それ以上の利益を生んでいると同氏は答えました。

 
新アルゴリズムが広告ビジネスを邪魔する??


今回のアルゴリズムの変更で、ミニフィードは、友達や家族などのインタラクティブなつながりが発展しそうなものを優先的に流し、広告などのパブリックコンテンツは表示しにくくなるとも読めます。これについては、否定しないものの、広告チームとは適切な方法についてよく検討していると同氏は語っています。

また、今回のアルゴリズム変更については、ユーザー個人個人の興味のあるネタを学習し、つなげるということに重きを置いているとのこと。こういった取り組みは広告の表示にも十分生かせそうに思います。一見して、人の結びつきを強くするためといいつつ、最終的には広告という出口をより最適に、インタラクティブに反応してもらうための、個人の学習こそが目的である、という狙いが透けて見えそうです。


2016年のアルゴリズム変更と何が違う??


どうやら2016年の春も、友達や家族のフィードが増えるようにアルゴリズムを変更する旨を発表していたようです。今回の変更はそれと何が違うのか?

それはユーザーの興味を予測し、最適化することだと同氏は話しています。単純に公開コンテンツより友達のコンテンツの表示優先度を上げるというのではなく、そのユーザーが興味をもっているものを理解し、予測し、それを数千の信号を解析して数十の予測パターンを作りそれを表示させることで、ユーザーに反応してもらい、人々のインタラクションをより活発にすることとのことでした。

 
なぜ変えることになったのか、その動機は??


一番強いのは2016年時点から一貫して強くある、友人や家族のフィードを優先的に表示してほしいというコミュニティから声だそうです。パブリックコンテンツの生成スピードや、数十人、数百人の友達が作る生成スピードに比べて相当に速いです。そのような記事に埋もれないようにしてほしいとのことです。

また、変えるきっかけになったのは、Facebook以外の研究者との交流により、分かったことがきっかけだとも話しています。それは、Facebookや友達同士がインタラクティブにやり取りすること自体には、テレビなどのような受け身のコミュニケーションとは違って、幸福度を感じる尺度や相関があると気づいたことだということでした。最近ではFacebookを見ていると、周りの幸せそうなフィードを見て気が重くなったり、気にしすぎて不幸な気持ちになったりすると書かれる記事も見ますが、その逆のパターンもあるとのこと。

そして、最後に、ビデオ投稿の伸びについて大きいと話しています。ビデオ投稿、ライブ投稿は基本的に受け身としてみることが多いものの、これがSNSでパラダイムシフトをおこして非常に速いスピードで成長しているとのことでした。広告ビジネスにおいても動画広告が今後重要になってきており、Facebook上のビデオを通じたやり取りの容量はビデオ以外の容量を超えてきているとも話しています。今後も、ビデオ投稿、ビデオSNSについてのサービスシフトはFacebook含め、それ以外の業界でも拡大し続けるだろうということでした。VRFacebook擁するOculusもその先にあるかもしれません。


研究内容は公表・共有されるのか?

 彼らはミニフィードに関しても数百名でビッグデータを抱えて様々な研究を行っているし、AIの研究所も設立しています。

それらを公開するかどうかは慎重論をとっているとのことでした。

その理由は、ほかの大学機関などとの共同研究が多いためだとしています。ただ、自分たち自身で行っているいくつかの研究発表については、概要にすぎないが下のハードクエスチョンのコーナーで答えているとのことです。重要な部分はクローズドにしつつ、概要と成果はPRしていくという方針でしょう。



 所感

世界中の数億人のフィードデータを持っているFacebookは研究するテーマが無限に転がっていて研究者をいくら雇っても、データ基盤をいくら増強しても足りないくらいでしょう。もともとアメリカで数人で始まったスタートアップが、今やミニフィード機能を開発する人たちだけで300人、400人というのは非常に驚きました。非常にサービスの心臓部のところなので力を入れていますね。

また、今回の記事ですが、アルゴリズムの話から、途中で、動画投稿の時代にシフトしているという話が出てきています。

データを大量にもっているFacebookは特にそれを感じているのでしょうね。今後は、スマートフォン、モバイル対応は当たり前で、さらに動画対応という視点も大事になってくるでしょう。日本でも最近、Youtubeを友達と共有してみながら電話で通話できるサービスが中高生に人気になっているとありましたね。インドでも、お互いの創作動画を若い人たちが面白おかしく撮影して、シェアすることがだいぶ根付いているという話を聞きました。

文章から写真へ、そして動画へ、よりリッチに、容量も大きくスケーリングしていくのだと思います。その次はOculusを利用したVRまで行きたいでしょうね。

そして、今後はそれを預かるデータセンター、通信量も、溢れてしまわないようスケールしないといけないです。今後もデータの膨張は止まらない。コンピュータ基盤技術も、ムーアの法則の限界が叫ばれる中、ニーズに負けない技術革新が必要になってくると思います。5Gは今年から普及していきそうだし、グッドタイミングでしょう。

最後に、改めてFacebookは研究成果をあまり公表していないなと、はたと気づきました。

そのスタンスは今後も変わらないようです。Googleも最近はAIに関して公開していますが、公開していない部分も多いんですよね。検索アルゴリズムとか、広告アルゴリズムとか。まあセキュリティ上の理由もあると思いますが。

今回はこんなところで。

以上


参考(Stratechery)

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