ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達に関する基礎知識 ~資金調達のラウンドやステージとは?~

ベンチャーキャピタルからの資金調達について、最初に覚えて置いたほうが良い情報を簡単ですがまとめました。

アメリカだと当たり前のように投資ラウンドのステージA、ステージBだのニュースで流れていますが、一体それはどういうことなのか。知っておくと、投資に関する動向も正しく素早く理解できるようになると思います。


目次
 1.Venture Roundとは
 2.登場人物、プレイヤー
 3.ラウンドごとの役割、位置づけ



1.Venture Roundとは

スタートアップなどに対して、ベンチャーキャピタルがスタートアップに資金を投資するための機会、場をいいます。ラウンドには、シードラウンド、エンジェルラウンド、シリーズA~D、E、F、Gなど、そのスタートアップの成長段階(ステージ)に応じて名前が付けられて行われます。

ベンチャーキャピタルはシードラウンド等の初期段階のスタートアップを専門としたり、逆に後半のラウンドに投資をすることが得意な会社もいるようです。

下は古いデータですが、CBInsightより引用したものです。
図の通り、ベンチャーラウンドはシードラウンドに始まり、事業を展開、拡大しながら、次のスケールアップに進むべく、順番にその資金調達ラウンドを進んでいきます。

VC funnel

母数1027社から始まり、127社、約12%の会社が初期段階からM&Aにより買収されているのが分かります。これはいい会社を早めに買収して、大きく育てたいという大企業の思惑が絡んでいます。GoogleのYoutubeなどはその最たる例でしょう。また、後ろにいけばいくほど、規模も大きくなり、金額も高くなるので、安いうちに沢山買ってしまおう!という事情もあります。

いずれにせよ、さいごの6回目の資金調達に挑むのは9社だけ。約1%弱!!

スタートアップから世界を跨ぐ、GoogleやFacebook、Uberになるのは、狭き門です。


2.登場人物、プレイヤー

ベンチャーラウンドの登場人物について紹介します。

1)スタートアップの創業者、ステークホルダー
 資金調達をするために自分たちの会社や強みを投資家に紹介する役割をもつ。

2)リード・インベスター
 資金調達のラウンドごとに決定します。その投資ラウンドを最も積極的に主導していたり、最も巨額な投資金額をコミットメントする会社のことで、典型的には、その投資に関する法的手続きや、交渉、デューデリジェンスなども監督していく存在。

 ベンチャーキャピタルや企業は、リードインベスターとなることで、スタートアップとさらに踏み込んだパートナーシップを構築することも可能。有利なポジションであり、これをいかに活用して中に入り込むかが重要といわれている。

3)共同インベスター(Co-Investor)
 他のリードインベスターに次いで、貢献のあったメジャーな投資家のことをいう。

4)フォロー・インベスタ
 リードインベスターのラウンドに参加して、資金投資を行う、受動的な役割の投資家。

5)投資を受けるスタートアップ企業
 言葉のとおり、投資を受け入れる会社、箱。

6)法律事務所、会計事務所などの専門家
 すべての参加者にたいして、書面や取引に関して助言を行うための存在。
 


3.ラウンドごとの役割、位置づけ

1)シードラウンド

 コンセプトづくりのプロトタイプを開発しているスタートアップのための資金調達ラウンドです。資金調達の金額規模は、だいたい数百万円から、高くて、数千万円程度です。(アメリカ$だと、$10K~$1Mといったところ
 シードラウンドの資金提供者は様々で、自己資金、家族や友人、大学の先生、エンジェル投資家、シード特化のベンチャーキャピタルが参加するようです。場合によっては、創業融資や、クラウドファンディングを活用する場合もあるようです。また、大企業においては、この段階では追っていない会社がほとんどのようです。

2)エンジェルラウンド

 初期の段階で、外の投資家が一般株式を購入することができるラウンド。シードラウンドで十分でなかった場合の追加措置のようなもの。

3)シリーズA(アーリーステージ)

 プロトタイプが完成済みで、商品やサービスの提供が始まった段階のスタートアップなどが対象です。資金調達金額は、だいたい数千万円から、2億円程度。($100K~2Mくらい)シリーズAラウンドは、ほとんどの投資はベンチャーキャピタルが担います。
※あるソースでは、近年、$2M~15Mにも膨れ上がってきているという話も。
※実際に、MagicLeapなどは50Mだったり、現在有名なスタートアップは$20M以上をシリーズAで調達している傾向が多いです、バブリーだともいわれていますし、これを釣り上げているのは、孫正義さんのビジョンファンドだ、なんて指摘もあります。


4)シリーズB(成長ステージ)

 商品やサービスのほうが軌道に乗り始め、さらに成長を加速するための資金が必要になったスタートアップが対象です。資金調達金額は、だいたい2億円から数十億円くらいの規模になっています。日本ではほとんどが数億円くらい、だそうです。($2M~90M)こちらも中心はベンチャーキャピタルですが、事業連携を始めた、事業会社が担う場合も増えてきます。量子コンピュータ系スタートアップの1QbitはシリーズBで$45Mくらいでしたね。

5)シリーズC(レイターステージ)

 グローバル展開などのさらなる成長や、M&AやIPO(株式公開)などのExitを実行するために、十分な利益または売り上げを出すための資金が必要な会社が対象になっています。日本ではシリーズBとCはそんなに区別が明確でないようですね。こちらの資金調達金額は、だいたい数十億円~数百億円程($10Mから100M)だといわれています。こちらの資金調達は、主に、Exitの得意なベンチャーキャピタルや事業会社が担っているそうです。バイクシェアで大人気のLimeBikeは、シリーズCで、グーグル系のベンチャーキャピタル(GV)がリードし、合計で$335Mの投資を受けていました。



また、シリーズAAやシリーズBBなど、当初のシリーズでの売り上げなどの目標が達成できずに資金が枯渇してしまったがため、再度シリーズをやり直し、投資家を新しく募りなおすラウンドもあるようです。やはりその時も、その失敗の理由や、成長可能性をしっかりと説得できることが必要になってくると思いますが。ダウンステージともいうらしい。



さらに、シリーズD、シリーズE、F、Gと資金調達が進んでいく場合もあります。
あまり解説された資料はないのですが、シリーズCと、それほど位置づけは変わらないものだと認識しています。IPOなどのExitの手前に来ていて、もう一押しの資金調達が必要な会社がほとんどです。


以下に長く資金調達を重ねているスタートアップの例を出してみてみましょう。

Uber’ もうラウンドGまできています。最大級の成長未公開企業で、IPO目前です。

AirBnB’ ラウンドFまできています。上に同じです。

RetailNext’ ラウンドEです。早くIPOしろ!とせっつかれています。


ただし、UberやAirBnBは他にもいろんなラウンドがありますし、1回で数十億ドルを調達するなど、色々とモンスター級でしたね。


以上です。

参考サイト)
 Wikipedia
 Medium
 CrunchBase


追記)

こちらの図も大変見やすかったので引用します。説明は上記のとおりです。


https://www.quora.com/How-does-Series-A-B-C-and-seed-funding-work


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